「これは上手いねえ。面白い」
「どこが上手いの?」
「日常レベルの描写の連続なのに、チラッチラッと非日常を小さく割り込ませる。メリハリがあって印象的だ。これは上手い」
「それで面白いの?」
「面白いねえ」
「どこが面白いの?」
「この世界には女がいる。女のような物体しかいないアニメとか漫画は多いよ。人間を描くというのは形を忠実に描くことでも、不幸な過去を設定することでもない。要するに【人間ってこういう時にはこんなリアクションはしないよね】という人間らしさを忠実に描いていくかどうかだ」
「難しいことを言っているね」
「まあ、難しいことは横に置いて楽しく読めばそれでよろしい」
「他には?」
「宇宙船メイフラワーに乗りたいが絶望的に倍率が高いという話はいいねえ。生々しいよ。ドキドキ感がある」